雷は科学の発達した現在でも解明できていない自然現象の一つです。
強い雷光と大きな雷鳴、人畜を殺傷し、火災を起こし、停電を起こすなど二次災害も大きく、私ども現在の人間にも心理的・社会的脅威となっていることは、誰も否定しないと思います。
西洋でキリストが没した時、神の怒りで大雷雨になり多勢の兵士が倒れたなど、歴史上・文学上の幾多の場面に取り入れられ、それが大きな効果・要因になっていることを考えると、まだ雷は神秘性を持っているのでしょう。
日本で雷といえば、虎の革のフンドシをしめ、たくさんの太鼓を背負って、雲の上から下界を眺めている鬼の姿を思い起こします。皆様も子供の頃、昼寝の時母親から「オヘソを出して寝ていると、カミナリ様にオヘソを取られてしまうよ!」などと言われたことがあると思います。
それくらい雷は良いにつけ悪いにつけ、人々の心にある種の親しみを持った、神秘的なコワイモノとして映っているのではないでしょうか。
雷雲の発生メカニズム
まず雷雲が発生する基本メカニズムは、上に冷たい空気があり、下に暖かい空気がある場合に発生します。暖かい空気は強い上昇気流となって上がり上の冷たい空気に冷やされ雷雲となります。
このような状態になるには、暖かい空気の層に冷たい空気の層が侵入した場合や、太陽に強く熱せられて
地面付近の空気の温度が著しく上がったような場合です。
雷の種類
例えば夏など暑い日に発生する雷の場合、上に寒気がある状態で日中の日差しによって地面の温度が高くなり空気の上下移動によって雷雲が発生します。このような条件の雷を「熱雷」といいます。
もっとも代表的な雷で発生回数も多いです。
また発達した寒冷前線や温暖前線によって雷雲中に発生する雷を「界雷」といいます。年間を通じて発生するのが特徴で、
時間を問わず真夜中でも明け方でも発生します。
また熱雷と界雷がいっしょに発生することがあり、「熱界雷」といいます。日差しによって急激に熱せられ、上昇気流が起こり熱雷が発生しそうな所で寒冷前線が近づき、冷たい空気が暖かい空気を上へ押し上げ、上昇気流をさらに激しくして、強い雷雨となります。
その他、低気圧の中で発生する雷があり「渦雷」といいます。特に低気圧の南側や南東側に起こりやすく、低気圧の移動と共に雷の発生場所も移動するので移動速度も速く、場合によっては日本全土を覆うように雷が発生することもあります。
雷の正体
雷は、大きな雷雲の中の激しい上昇気流によって生じる「電気」です。1回の放電で電圧10億ボルト、電流2万アンペアが流れかなり大きいものだが
放電時間はたったの1/1000秒と非常に短いのです。そして雷の放電が起こったところは、周りの空気が1万度以上に熱せられて、急激に空気が膨張してゴロゴロという雷鳴が鳴るのです。
雷の予測と退避法
夏によく入道雲を見かけることがありますが入道雲の大きさで予測できます。午前中の入道雲の大きさと午後の大きさを見比べて、大きくなっていれば雷が起こる前ぶれです。
落雷は、夕立のどしゃぶりの最中よりも雨が収まり始めたころに多いので雷雲が通り過ぎるのを待った方が良いでしょう。
冬は、雪が降っていなくても空じゅうに雲が広がって日中でも暗い感じのときや、細かい雪あられが強く降っているときなどは、かなり強い雷雲が発生します。このとき起こる
雷を「雪起こし」といい、逆に雷が鳴ったら雪が降り出すと考えていいでしょう。
また電化製品でも予測がつきます。雷が近づいてくると、テレビやラジオの雑音が多くなることがあります。それは雷は電気なので無線電波に影響を与えるからです。この雑音の間隔が短いと、雷が近いことになります。
また、雷鳴の聞こえる距離は10qほどなので、ゴロゴロと聞こえたら近いと考えていいでしょう。
もし、いなびかりが激しくなって落雷の恐れがでてきたら、電化製品の使用を止やめてコンセントを外し、通り過ぎるのを部屋の中央で待つといいでしょう。また屋外での場合、逃げ場所としては、細い稜線や周囲が落ち込んでいる凸地は避け、
木でしたら木の先を45度以上の角度で見上げられる範囲に入り、木の幹から2m以上離れるといいでしょう。退避中の姿勢ですができるだけ低くとりますが、しゃがんだり腰をおろす程度では安全とはいえません。
金属類を持ち歩いたり身に着けたりすることは、落雷したときに電気を放電する意味で良いと思われますが、落雷の標的になりやすいので注意した方が良いでしょう。
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